
仮置き土で埋戻しが足りるかは、山の体積をそのまま必要量と比べても分かりません。次の順で数字をそろえてから比べます。
- 土の表面と下の地面の差から、今の量を出す
- 埋戻しに使えない土を除く
- 締め固めた後の量へ換算する
- 必要な埋戻し量と比べる
たとえば、ほぐした状態で1,200m³ある土も、ほぐし率1.20・締固め率0.90なら、締め固めた後は900m³です。必要な埋戻し量が1,050m³なら150m³足りないので、その分を追加で搬入します。反対に、締固め後の量が必要量を上回れば、その差が搬出できる余剰土です。
測り方は、目的によって変わります。
- 今の量を一度だけ知りたい:土の下の地面(基準面)の形が分かるかが決め手
- 施工中の増減を追いたい:毎回同じ範囲・同じ基準で測れるかが決め手
土の表面と基準面の差で求める体積
仮置き土の体積は、土の表面と、その下にある地面(基準面)の間の空間です。山の頂点と裾だけを測っても、下の地面が傾いていれば体積は決まりません。
基準面は、次の順で用意します。
- 仮置き前に地面を計測していれば、その面を基準にします。これが最も確かです。
- すでに土が置かれている場合は、過去の測量結果や施工図、山の周囲の地盤高から基準面を設定します。この場合の体積は概算です。基準面の作り方を、計算結果と一緒に残します。
これから土を置く場所なら、置く前に一度地面を測っておきます。それだけで、以後の残量を確かな数字で出せます。
計測では、山の上面から斜面、裾が地面と接する位置までを途切れずに取ります。次の場所をそのまま面にすると、体積が変わります。
- 重機や資材が載っている部分
- 急斜面の陰
- 草で地表が見えない部分
小規模な山や上空から見えにくい斜面は、地上から測ります。広く開けた仮置き場を定期的に追うなら、ドローン写真で測ります。方式の選び方は、ドローンと手持ちスキャナーの使い分けで説明しています。
計算では、土の表面と基準面を同じ格子に区切ります。格子ごとの高さの差に格子の面積を掛け、合計したものが体積です。0.5m四方の格子なら、1マスは0.25m²です。高さの差が2.0mのマスは、0.5m³になります。
格子を細かくすると、裾や斜面の形を拾いやすくなります。ただし、点の少ない場所では空のマスが増えます。空のマスを補間で埋めた場合は、その面積を記録しておきます。
この計算は、2つの面の差から体積を出せる点群ソフトで行います。たとえば無償のCloudCompareでは、2.5D Volumeの機能で体積を求められます。格子の間隔と空のマスの扱いも指定できます。
ラクソクRentで借りるスキャナーと解析ソフトは、計算の前の工程に使えます。スキャナーはラクソクScan Handy1、解析ソフトはラクソクStudioです。Studioの断面や高低差で、裾や斜面が欠けずに取れているかを確かめます。取り直す場所を、その日のうちに決められます。体積の計算は別のソフトで行うため、点群をそのソフトへ読み込めるか(書き出し形式)を、借りる前に確認しておきます。
締固め後の量への換算
仮置き場で測るのは、通常、掘削してほぐれた状態の体積です。一方、設計上の埋戻し量は、締固め後の体積で示されることがあります。この二つをそのまま比べると、不足量を誤ります。
記号を次のように置きます。
- 地山土量:`VN`
- ほぐした土量:`VL`
- 締固め後の土量:`VC`
- ほぐし率:`L=VL÷VN`
- 締固め率:`C=VC÷VN`
仮置き場で測ったほぐし土量から見込む締固め後の体積は、次の式で求めます。
`VC = VL × C ÷ L`
冒頭の例をこの式に当てはめると、次のとおりです。
| 比べる数字 | 例 |
|---|---|
| ほぐした状態の仮置き土 `VL` | 1,200m³ |
| 締固め後に見込む量 `VC` | 900m³ |
| 必要な埋戻し量 | 1,050m³ |
| 追加で必要な量 | 150m³ |
この例のLとCは、計算方法を示すための仮定です。実際には、国土交通省の土木工事共通仕様書などを参照します。その工事で採用する土質区分と係数を使い、仕様書の表にある標準値を現場の土へそのまま当てはめません。
また、仮置き土のすべてが埋戻しに使えるとは限りません。土質の違う土や異物の混じった土は、全体積から分けます。含水状態などで別扱いになる部分も同じです。搬入・搬出の判断に使うのは、「使える土を締固め後の状態へ換算した量」です。
増減を追うときは境界と基準を固定
前回からの増減を見るときは、毎回同じ計算区域・座標・高さの基準を使います。山の裾に合わせて計算境界を毎回引き直すと、土が増えたのか範囲が変わったのかを分けられません。
仮置き前と現在の両方をドローン写真で撮れる現場では、ラクソクGeoが使えます。公式ページでは、次の工程を一つのサービスで案内しています。
- 写真のアップロードと点群生成
- 指定範囲の任意2時点の土量比較
- 所定フォーマットの出来高報告書作成
増加量・減少量・差引きの示し方は、施工前後の差分土量の報告方法で説明しています。
地上で取ったRentの点群とGeoの点群を一つにまとめる場合は、同じ座標と高さへ合わせる工程を別に決めます。両者が自動でつながる機能は、現在の公開情報では確認できません。
2時点の表面差が示すのは、仮置き場のどこで土が増減したかです。搬入量・搬出量そのものとは一致しません。場内で土を移した場合や、重機で締めた場合も表面は変わります。地盤の沈下も同じです。
数字が合わないときの原因別の直し方
- 体積が毎回大きく変わる:計算境界と基準面が同じかを確かめます。境界が違う計算結果どうしは比べません。
- 山の片側だけ不自然な凹凸がある:重機・草・欠測・不要な点を確かめ、その場所を追加計測します。
- 仮置き土量はあるのに埋戻しが不足する:ほぐした土と締固め後の土を、同じ体積として扱っていないかを見直します。使えない土を含めていないかも確かめます。
- 伝票と差分土量が合わない:場内移動・締固め・沈下・含水状態・計測日のずれを分けて調べます。表面差だけで、運搬実績を書き換えません。
まとめ:判断に使う5つの数字の一覧表
追加で搬入するか、余った土を出すかは、次の5つの数字を1枚の表に並べれば決まります。
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 現在の体積(ほぐし) | 基準面との差から計算した量と、基準面の作り方 |
| 使えない土 | 土質違い・異物混じりなどで除いた量 |
| 採用したL・C | その工事で採用した土質区分と係数 |
| 締固め後に見込む量 | 使える土 × C ÷ L |
| 必要な埋戻し量 | 設計・施工計画の値(締固め後) |
締固め後に見込む量が必要量より少なければ、その差を追加で搬入します。多ければ、その差が搬出できる余剰土です。
基準面を推定で置いた場合は、差がわずかなうちに搬出を決めないでください。仮置き土を使い切る前にもう一度測ってから、判断します。