
図面にない位置の断面は、点群を断面線で切って現況の線を取り出し、CADで設計線と重ねて作ります。
ただし、必要な断面が一本だけで位置が決まっているなら、TSやレベルで断面上の点を測るほうが早く終わります。現地へ戻りやすい場合も同じです。点群を選ぶのは、次のような場合です。
- 断面の位置がまだ動く
- 複数の箇所を比べる
- 法面や既設構造物を含む周りの形を、後から見直したい
点群を取っただけでは、設計横断図と比べられる図になりません。断面の位置と向き、現場座標、高さの基準をそろえます。そのうえで、切り出した現況の線をCADで設計線と重ねて、初めて比較図になります。
計測前の断面線の書き込み
最初に決めるのは機材ではなく、その断面で何を判断するかです。断面線は、判断に必要なものが見える位置に引きます。
- 排水路:水路の底高と両側の地盤
- 擁壁:天端・基部と新設部
- 仮設構造物:施工時の離隔
平面図には、次の項目を書き込みます。
- 断面線の始点と終点
- 断面を見る向き
- 比べる設計横断図や3次元設計データ
- 現況と設計を合わせる座標と高さの基準
- 判断したい範囲と必要な許容差
ここが曖昧なまま計測すると、必要な場所が点群の端になることがあります。同じ測点名でも、向きの違う断面を比べてしまうこともあります。施工位置が動く可能性があるなら、候補線の周りを面で取得しておきます。
断面に必要な面の現場確認
地盤だけでなく、断面で読む対象まで計測します。法肩・法尻・擁壁・側溝・構造物の基部などです。草木や車両、資材、機器の裏側は点群になりません。一方向から通り過ぎて終えず、断面線の周りに切れ目があれば、別の位置から追加で取得します。
ラクソクRentなら、スマホで取得状況を見ながら計測できます。その日のうちに、解析ソフトのラクソクStudioで断面と高低差を出せます。断面線の周りに切れ目がないかを現地にいるうちに確かめられるので、取り直しをその場で済ませられます。設計線との重ね合わせと比較図の作成は、CADでの別作業です。
現場座標で使う場合は、既知点などで位置と高さを確かめます。点群の形がきれいに見えていても、全体がずれていれば設計図との比較には使えません。
断面の切り出しと点を拾う幅
計測後は、平面図に引いた断面線と同じ位置・向きで点群を切ります。このとき、断面線の前後どれだけの幅の点を拾うかを決めます。
- 幅を広げる:点が増えて線は途切れにくくなります。ただし斜めの地形や構造物の角では、前後の形が混ざって線が太くぼやけます。
- 幅を狭める:形は正確になります。ただし点がまばらな場所で、線が切れます。
緩やかな地盤では広めに、構造物の角や側溝では狭めにします。表示を見ながら決め、採用した幅を比較図に書いておきます。
断面の周りにある草木や資材の点は、現況の地盤と混ぜずに扱います。点が欠けた部分を推測で滑らかに閉じると、測っていない形を現況として描くことになります。欠測のまま残すか、必要な部分だけ追加計測します。
設計線と重ねた比較図の作成
CADでは、現況断面と設計横断図の測点・向き・座標・高さを合わせます。比較図には、次の内容を一緒に載せます。
- 平面図上の断面位置と見る向き
- 点群から読んだ現況地盤・既設構造物
- 設計の計画線と新設部
- 掘削・盛土や離隔を判断した位置
- 欠測・別に測った部分・推定した部分
元の点群だけを渡すより、この一組にしたほうが伝わります。施工を検討する人が、「どこを測り、何と何を比べたか」をすぐに確かめられるからです。
設計図と合わないときの戻り先
- 断面全体がほぼ同じ量だけ、横や上下へずれる:座標系・系番号・高さの種類・基準点・断面の向きを確かめます。原データがあれば、取り直す前に位置合わせをやり直します。
- 一部だけ地盤の線が途切れる、構造物の角が読めない:座標設定では直りません。必要な面を別方向から追加計測するか、重要な点だけTSやレベルで測ります。草木の点が地盤として残る場合も同じです。
- 同じ柱や擁壁が二重に見える、区間によって形が曲がる:平行移動や回転では直せません。その区間は施工判断に使わず、計測経路を変えて取り直します。
取り直す範囲は、現場全体ではありません。比較図に必要なのに、形を確かめられない部分から決めます。原因の切り分け方は、点群と図面がずれるときの再処理と再計測で詳しく説明しています。
まとめ:先に決めるのは断面線・向き・範囲
断面が一本で位置が決まっていれば、TSやレベルで測ります。位置が動く、複数を比べる、周りの形も見たいなら点群です。
次の検討では、平面図に断面線の始点・終点と見る向きを書き込んでください。施工位置が動きそうなら、その周りまで計測範囲を広げてから現場に出ます。