点群と図面がずれるとき、どこから直す?再処理と再計測の分け方

点群と図面がずれるとき、どこから直す?再処理と再計測の分け方

点群と図面がずれたら、画面上で点群を動かして合わせる前に、差を数字で並べます。両方で同じ場所を示す点を3点以上選び、X・Y・高さの差を記録します。差の出方を見れば、直す場所は次の3つのどれかに絞れます。

  1. 座標と高さの基準
  2. 点群の登録
  3. 欠けた面

直す順番もこの順です。先に見た目を合わせると、座標系の違いを位置合わせで隠してしまいます。取れていない面を補間で作ることにもなります。

原本の保存と基準の決定

作業は作業用コピーで行い、次のものを原本として残します。

  • 編集していない点群と、点群を作った処理プロジェクト
  • 受け取った図面
  • 既知点・標定点の座標
  • これまでの座標変換の記録

図面を自動的に正解とはしません。図面の作成時点、測地基準、平面直角座標系の系番号、高さの種類を確かめます。現場内の任意座標を使っていないかも見ます。

点群を取った後に現場が変わった場合は、点群を図面へ合わせると実際の変化を消してしまいます。図面が改修前のままの場合も同じです。図面の基準が分からないときは、座標の分かる既知点を別に測ってから進めます。

ずれ方別の原因早見表

点群と図面の両方で同じ場所を示す点を選びます。中央・端部・高さの違う場所から選び、X・Y・高さの差を同じ符号で記録します。CloudCompareでは、Point pickingで点の座標や2点間のdX・dY・dZを確認できます。変換に使う点と、結果を確かめる点は分けておきます。

差の出方疑う原因
数十km以上ずれる平面直角座標系の系番号の違い、公共座標と現場内座標の取り違え
形は合うが、大きさが約1000倍違うメートルとミリメートルの取り違え
位置が入れ替わったように見えるX・Yの並び。平面直角座標系のXは北方向のため、CADで横軸をXとする設定と逆になりやすい
全域でほぼ同じ向き・同じ量だけずれる原点、基準点座標、既知の平行移動、図面の挿入位置
端へ行くほど差が広がる、向きが変わる回転、縮尺、点群登録
平面は合い、高さだけ数十mずれる楕円体高と標高の取り違え(日本ではジオイド高が数十mある)
平面は合い、高さだけ一定量ずれるジオイド・モデル、標高成果の新旧、アンテナ高
スキャンの境界だけが二重になる個々のスキャンやSLAM軌跡の登録
壁の裏・構造物の下面・植生下に点がない欠測。座標変換や位置合わせでは直らない

一点だけが合うように動かしても、どの原因かは判断できません。変換前の差を残したまま、原因の候補を一つずつ直します。

点群登録より先に直す座標と高さ

水平位置は、次の項目を点群と図面で照合します。

ファイルに同じ座標系名を付けても、座標値は変換されません。元の座標値がどの基準で作られ、どの変換を何回通ったかまで追います。

高さは、水平位置と分けて見ます。国土地理院は、衛星測位で得る楕円体高からジオイド高を引いて標高を求める関係を「ジオイドとは」で示しています。また、国土地理院が管理する基準点の標高成果は、2025年4月1日に測地成果2024へ改定されました。

旧成果と新成果が混ざっている場合は、一定量を手入力で足しません。データの来歴に合うPatchJGDの標高補正で、元の座標・高さから作り直します。三角点標高版と水準点標高版では、使うパラメータが異なります。基準にした成果に合わせて選びます。

座標変換や標高補正は、対応したソフトか国土地理院の測量計算サイトで行います。CloudCompareのGlobal Shift and Scaleは、大きな座標値を内部で扱うための仕組みです。読み込み時にローカル座標へ移し、保存時に元の座標へ戻します。測地基準や系番号を判定して変換する機能とは別物です。見た目を合わせるためにGlobal Shiftを書き換えると、書き出す位置まで変わることがあります。

基準をそろえた後の点群の位置合わせ

座標と高さをそろえても剛体的なずれが残る場合は、元の標定・登録処理をやり直します。CloudCompareなら、`Tools > Registration > Align (point pairs picking)`を使います。公式手順どおり、動かさない側を`Reference`、修正する点群を`Aligned`に指定します。そのうえで、同じ場所を示す点を3組以上選びます。

通常は`fixed scale`を有効にしたまま、平行移動と回転で合わせます。単位が違うと分かっている場合は、元データの単位を先に直します。尺度を自由にすると、座標設定や登録の誤りまで、形の伸び縮みで隠してしまうためです。

画面に出るRMSや各点の誤差は、位置合わせに使った点への当てはまりです。それだけで採用せず、変換に使わなかった既知点と現場の端部で確かめます。X・Y・高さが成果基準に入るかを見ます。

細かな登録差だけを詰める場合は、Fine registration(ICP)を使えます。ICPは、二つのデータがすでにおおむね合っていることが前提です。重なる部分が同じ形を表している必要もあります。施工で変わった面や、車両・植生など動いた対象を含めると、実際の変化まで合わせてしまいます。変化していない範囲に限って使います。

補正を一つ行うたびに、変換に使わなかった点で差を確かめます。理由が分からないまま補正を重ね、最後に見た目だけを合わせることはしません。

原本から直せない範囲の再計測

修正後も、変換に使わなかった点が成果基準を満たさなければ、その派生データは成果に使いません。座標や高さの来歴が分からない場合は、まず正しい基準点と変換条件を取り直します。点群全体を測り直す前に、原本から再処理できるかを確かめます。

原本に直す材料がない場合は、その範囲を補測・再計測します。たとえば次のような場合です。

  • 必要な壁面や下面が写っていない
  • スキャンが壊れている
  • 点群登録に必要な重なりや基準がない
  • 再処理しても不規則なずれが残り、影響範囲を確かめられない

まとめ:再処理か再計測かは差の表で判断

桁が違う、全域が同じ量だけずれる、高さだけがずれる。こうした規則的なずれは、設定を直して原本から再処理すれば直ります。スキャンの境界だけが二重なら、登録のやり直しです。面そのものがないなら、補測が必要です。

点群がずれたら、まず既知点を3点以上選び、X・Y・高さの差を表にしてください。上の早見表のどの行に当たるかで、次の作業が決まります。採用する派生データには、次の記録を残します。

  • 元ファイルと実施した変換
  • 位置合わせの変換行列
  • 使った点と確認点の差
  • 補測した範囲

これで、原本から直した部分と、測り直した部分を後から説明できます。