
図面のない建物の平面図は、点群から次の順で作ります。
- 点群を水平に切り、壁や柱を読む
- DXFの下書きを作る
- 人がCADで補正して仕上げる
室内をスキャンしただけでは、CAD図面になりません。計測の前に「どの線を描くか」を決めておくことが、一番の近道です。
ただし、部屋が一つで必要な寸法も少ないなら、レーザー距離計とスケッチで測るほうが早く終わります。現地へ戻りやすい建物も同じです。点群が向くのは、次のような建物です。
- 複数室や設備をまとめて記録したい
- 改修案に応じて、後から別の寸法を見たい
- 再訪が難しい
計測前に決める、図面に載せる線と寸法
計測前に、実際にCADを使う設計者や施工担当者と、次を決めます。
- 壁の仕上げ面・躯体面・壁芯のどれを描くか
- 柱・扉・窓・設備・梁・段差のどこまで必要か
- 開口寸法は枠の内側か外側か
- 改修範囲外の部屋をどこまでつなげるか
- 必要な座標・高さ・縮尺・レイヤー・納品形式
この定義がないと、同じ点群から線を引いても、作図者ごとに違う平面図になります。点群の利点は、作図中に気になった場所を、現地へ戻らずに見直せることです。家具の背面や壁の裏など、計測で見えなかった場所までは補えません。
現場で意識する、部屋をつなぐ経路と見えない場所
各部屋を別々に取るのではなく、廊下や出入口を通って、建物内のつながりが残る経路で計測します。同じ場所へ別方向から戻れる経路にしておくと、柱や壁が二重になっていないかを確かめやすくなります。
点群に残らない場所もあります。家具の背面・扉の裏・設備の奥・狭い隙間です。ガラスや鏡も、正しい面として読み取りにくいことがあります。動かせる物は先に移します。動かせない物で隠れる重要寸法は、レーザー距離計やメジャーで別に測ります。
ラクソクRentなら、ラクソクScan Handy1で取った点群を、その日のうちにPCへ移せます。解析ソフトのラクソクStudioで断面や距離を出し、壁や開口が読めるかを確かめられます。現地を離れる前に読めない場所が分かれば、追加計測やメジャーでの実測で済みます。
壁と開口が見える高さでの切断とDXF下書き
最初に、建物全体を一つの高さで水平に切ります。目安は、机や腰窓の下端より上で、扉の上枠より下の高さです。この高さなら、壁は連続した線として現れ、扉と窓は線の切れ目として現れます。床置きの家具や巾木は下に、梁や照明は上に外れます。
背の高い棚など、この高さに残る物は、壁と見分けて扱います。開口部や設備を確かめる場所では、切る高さを変えます。平面だけで判断しにくい箇所は、縦断面からも見ます。
壁の点は一本の線ではなく、幅を持った帯に見えます。どちら側を仕上げ面とするかを決めてから、壁・柱・開口部の輪郭をCAD線へ移します。隠れて測れなかった部分は、別に測った寸法や既存資料を使ったと分かるようにします。見た目を整えるために、点群にない線を黙って閉じることはしません。
開発・検証中のラクソクSpaceは、点群からDXF下書きへつなげる範囲を検証しています。点群の確認・計測と、断面や輪郭の取得が対象です。現時点で、完成図面を自動作成する正式サービスとして案内しているものではありません。DXF下書きの後は、人がCADで補正する前提です。補正するのは、壁線・直角や通り芯・扉の開き・窓・寸法・室名・レイヤーです。
図面が閉じないときの直し方
部屋を一周した線が閉じない場合は、まず点群を見ます。同じ柱や壁が二重になり、区間によって形が曲がっているなら、計測経路のずれを疑います。線を直角に整えるのはその後です。局所的に形が変わった点群は、全体を移動・回転しても直りません。影響する区間を取り直します。
壁はつながっているのに扉や窓が見えない場合は、切る高さを変えます。それでも点がなければ、扉の開閉状態や家具による死角を確かめ、必要な寸法だけ現地で測ります。
全体の形は合うのに現地寸法とずれる場合は、点群上で同じ端部を選んでいるかを見直します。仕上げ面と躯体面を混ぜていないかも確かめます。
まとめ:渡すのはCAD図と根拠の一式
設計者へは、CAD平面図に次の資料を対応づけて渡します。改修中に疑問が出たとき、完成した線から元の計測へ戻れます。
- 参照した点群
- DXF下書き
- 現地で別に測った寸法
- 推定・未計測の部分
一室だけで寸法が少ないなら、手測りで済みます。複数室や、後から別の寸法を見たい建物なら点群です。点群でも、隠れた寸法は現地で測ります。
次の改修では、描く線の定義と必要な寸法を、平面のスケッチ1枚にまとめてください。仕上げ面か躯体面かも書き込み、設計者の確認を取ってから計測日を決めます。