ドローン測量で地形追従は必要?高度基準から飛行計画を決める

ドローン測量で地形追従は必要?高度基準から飛行計画を決める

高低差があるだけで、地形追従にする必要はありません。まず、予定ルートの一番低い地点と一番高い地点で対地高度を計算します。一つの水平な飛行面で、両方の地点が次の3つを満たせば、一定高度で飛ぶほうが管理は簡単です。

  • 必要な地上画素寸法(GSD)
  • 写真の重なり
  • 地表・障害物との離隔

満たせない場合に、区域分け、地形追従の順で検討します。

計算の前に、飛行アプリへ入れる高度の基準を確かめます。「離陸地点からの高さ」か、「その場所の地表からの高さ」かです。ここを取り違えると、同じ「80m」でも斜面の上と下で写り方が大きく変わります。

離陸点相対高度と対地高度の違い

離陸点相対高度は、離陸地点の高さを基準にした機体の高度です。対地高度(AGL)は、飛行中の各地点で、機体と直下の地表との間にある高さです。平らな現場では近い値になりますが、斜面では一致しません。

たとえばDJI FlightHub 2の公式マニュアルには、2つの高度モードがあります。`Altitude Relative to Takeoff Point (ALT)`は、実際の離陸点を基準にルート高度を決めます。`Above Ground Level`は別のモードです。メーカーが違えば名称も動作も変わるため、使う機体とアプリの現行マニュアルで確かめます。

水平なルートを離陸点相対高度で作る場合、各地点の対地高度は次の式で求めます。

`各地点の対地高度 = 設定する離陸点相対高度 −(その地点の地表高 − 離陸地点の地表高)`

離陸地点の地表高が100mで、ルート高度を離陸点相対80mにしたとします。地表高70mの場所では対地高度110m、地表高130mの場所では対地高度50mです。これは高度の読み替えを示す仮定の数値で、飛行の許可・承認や安全条件を示す値ではありません。

最低地点と最高地点でのGSDと重なりの計算

GSDは次の式で求めます。

`GSD = 対地高度 × カメラの画素サイズ ÷ 焦点距離`

画素サイズ3.3µm、焦点距離12.3mmのカメラで計算すると、次のようになります。

対地高度GSD
50m約1.3cm
80m約2.1cm
110m約3.0cm

必要なGSDが2.5cmなら、地表の低い谷側(対地高度110m)で条件を外れます。

重なりは反対に、地表の高い尾根側で不足します。撮影間隔とコース間隔を、離陸地点上の80mで計算したとします。対地高度50mの地点では、一枚に写る範囲が0.625倍になります。その結果、前後の重なり80%は約68%に、横の重なり70%は約52%まで下がります。

国土地理院の現行の作業規程の準則第421条も、UAV写真点群測量の撮影計画を、次のような条件から立てるとしています。

  • 必要な位置精度と地上画素寸法
  • 対地高度と使用機器
  • 地形形状・土地被覆・気象条件

アプリに表示された一つの高度だけで、撮影条件を決める規定ではありません。

谷側のGSDと尾根側の重なりの両方が条件に入れば、一定高度で飛びます。どちらかが外れたら、区域分けか地形追従へ進みます。急な法面や尾根・谷がある場合は、その地点も同じように計算します。

段状なら区域分け、連続する斜面なら地形追従

  • 段状の地形で、高い区域と低い区域に分けられるなら、区域ごとに撮影基準面を設定します。区域の境界で写真が不足しないよう、隣の区域と重なるコースを入れます。第421条も、高低差が大きい地域では、撮影基準面を数コース単位に設定できるとしています。
  • 斜面や谷に沿って地表高が切れ目なく変わるなら、地形追従を使います。区域分けでは対地高度の変動を抑えられないためです。機体と飛行アプリが対応し、地形データやセンサーの条件を満たすことが前提です。

区域分けなら、各ルートに高度基準と撮影基準面を書きます。地形追従なら、目標の対地高度に加えて、地表をどのデータやセンサーで決めるかを飛行計画に書きます。

DSM方式とリアルタイム方式の準備の違い

「地形追従」という名称でも、経路の作り方は製品によって違います。たとえばMavic 3MとDJI Pilot 2では、公式FAQがDSMを読み込む手順を示しています。一方、`Real-Time Terrain Follow`は、飛行中に地表との高さを保つ別の機能です。DJIはMatrice 4Eの公式ページで、この名称を使っています。

DSM方式では、経路を作る前にDSMの範囲・座標・高さの基準・作成時点を確かめます。造成前のDSMを盛土・切土が進んだ現場に使うと、計画上の地表と今の地表がずれます。DSMの外や欠測部の扱いも、使う機体とアプリのマニュアルで確認します。経路が生成できても、地形データが今の現場に合っているとは限りません。

リアルタイム方式では、その機能の作動条件に合わせます。対応機体、追従できる方向、速度・高度・地表の条件を確かめます。DSM方式の条件を、そのまま流用しません。

どちらの方式も、障害物回避の代わりにはなりません。電線・クレーン・樹木・仮設設備が、地形データや下向きの検知に入るとは限らないためです。ルートへ入るまでの高度と帰還高度は、別に設定します。FlightHub 2のマニュアルでも、`Safe Takeoff Altitude`と`RTH Altitude`は離陸点相対高度として扱われ、ルートのAGLとは別です。

本撮影の前の試し撮り

一定高度なら、実際の離陸地点を固定してルート高度を設定します。予定と違う標高の場所から離陸する場合は、最低・最高地点の対地高度とGSDを計算し直します。

区域分けなら、各区域のルート高度を別に設定し、境界をまたぐ重なりを確かめます。地形追従なら、ルート断面で対地高度と上昇・下降の区間を確かめます。地形データの端と、ルートへの進入・帰還も確認します。アプリがルートエラーや機体の制限を示す経路は使いません。

本撮影の前に、最高地点・最低地点・傾斜の変わる場所を含む区間を試し撮りします。画像で写り方と重なりを確かめ、合わなければ高度モードの選択からやり直します。飛行ログを見るときは、記録された高度が離陸点相対高度かAGLかをそろえてから比べます。

まとめ:最低地点と最高地点の2点から判断

谷側でGSDが、尾根側で重なりが条件に入るなら一定高度です。段状の地形なら区域分け、斜面が切れ目なく続くなら地形追従を選びます。

次の現場では、まず地図やDSMから、予定ルートの最低・最高地点の地表高を拾ってください。対地高度・GSD・重なりを2行の表にしてから、高度モードを選びます。