屋内SLAMはどう歩けばずれにくい?計測ルートと再計測の判断

屋内SLAMはどう歩けばずれにくい?計測ルートと再計測の判断

屋内SLAMでずれにくい点群を取るには、ループと共通部分を作りながら歩きます。ループとは、一度通った場所へ戻る経路のことです。SLAMは、移動しながら周りの形を対応づけて、自分の位置を推定します。同じ場所を別方向から見直す機会が多いほど、途中で積み重なったずれを全体で調整できます。

計測を始める前に、そもそもSLAMで取るべき仕事かも確かめます。

  • SLAMが向く仕事:屋内全体の形、設備の配置、後から見る断面をまとめて残したい
  • 直接測るほうが確実な仕事:少数の基準点や重要寸法だけが必要

後者なら、TSやレーザー距離計を使います。

最初の短い区間での試し取り

建物全体を測る前に、実際の条件を含む短い区間を取ります。長い廊下・ガラス面・設備の密集した場所・階段のうち、難しい場所を一つ含めます。処理後に壁・床・柱・設備が一つにつながり、必要な断面や寸法を読めるかを確かめます。全体へ広げるのはその後です。

試しの区間で形が崩れるなら、同じ歩き方で全館を測っても、後処理の手間が増えるだけです。照明・反射面・人や車両の動き・通れる経路を見直します。それでも形が取れない場所は、別の機材や直接測定に回します。

ループと共通部分を残すルートの組み方

計測ルートは、開始地点か一度通った場所へ戻れるように組みます。長い廊下を一方向へ進んで、別の場所で終える経路は避けます。途中の柱・出入口・曲がり角を、別方向から再び捉えられる経路にします。SLAMでは局所的なずれが積み重なります。過去の形と再び対応づけるループが、全体を調整する手掛かりになります。

たとえば、中廊下の両側に部屋が並ぶフロアなら、次のように歩きます。

  1. 廊下を端まで進みながら、各部屋へ入る
  2. 部屋から出るたびに、廊下の同じ柱や出入口を視野に入れ直す
  3. 最後は開始地点まで戻って終える

建物を複数の区画に分けて取る場合は、区画の境目を扉一枚の狭い場所にしません。両方の計測に入る柱や壁面を残します。階をまたぐ場合も、階段の前後や踊り場だけでつながりを判断しません。各階で確認できる共通部分を設けます。

歩くときは、急な旋回や機器を振る動きを避けます。床・壁・天井・柱など、複数方向の形が入るように持ちます。設備は正面だけでなく、改修で必要な背面や配管との間隔が見える位置も通ります。鏡・ガラス・光沢面・動く人は、固定された面として使いにくい対象です。それらに囲まれた場所は、別方向からも取ります。

現場の画面とPCの点群で見るところ

ラクソクRentのラクソクScan Handy1は、LiDAR SLAMとVisual SLAMを使うスキャナーです。操作用スマホで取得状況を見ながら計測します。公式ページには、すべての環境での点群生成を保証しないという注記があります。そのため、最初の短い区間での試しが特に役立ちます。現場の画面では、必要な面が見えているか、明らかな欠けがないかを見ます。

計測後は、USBでPCへ移し、解析ソフトのラクソクStudioで全体の形を見ます。断面や距離を読む前に、次の崩れがないかを探します。

  • 同じ柱や壁が二重になっている
  • 床や天井が区間によって不自然に傾く
  • 廊下の往路と復路が別の位置に出る
  • 隣の部屋へ移る出入口で点群が折れる
  • 必要な設備の裏側や上面が欠けている

こうした崩れがある区間は、寸法を読み始める前に取り直します。

位置合わせで直るずれ、取り直すずれ

建物の中の形は一貫しているのに、図面や屋外測量の座標と全体が合わない場合は、位置合わせで直ります。点群の中で識別できる既知点を複数使い、位置と向きを合わせます。結果は、位置合わせに使っていない点でも確かめます。操作の方法や対応する形式はソフトによって違います。Scan Handy1を持って歩くだけで、現場座標が決まるわけではありません。

一方、点群の中の形が崩れている場合は、全体の平行移動や回転では直りません。廊下の途中だけ曲がる、同じ壁が区間によって二重になる、といった場合です。その区間を別のルートで取り直します。必要な面が欠けている場合も、点群処理で見えない面を作らず、別方向から追加計測します。

確認点で許容差を満たさない場合は、その点群を寸法や図面の根拠に使いません。ずれが再現しない場合や、影響範囲を特定できない場合も同じです。形の共有だけに用途を下げるか、重要な部分をTS・固定式スキャナー・直接測定に切り替えます。

まとめ:本番前に一番難しい区間を1つ試し取り

屋内SLAMの基本は2つです。ループと共通部分を作って歩くこと。形が崩れた区間は全体を動かしても直らないので、取り直すことです。

次の現場では、長い廊下・ガラス面・階段のうち、一番難しそうな区間を1つ選んで短く取ってください。Studioで二重の壁や出入口での折れがないかを確かめてから、全館の計測ルートを決めます。