
建物点群は、ファイルを保存しただけでは次の改修に使えません。図面の線から、根拠にした断面、処理点群、取得原本、写真、取得時点、欠測へ戻れる形で残します。
さらに、保存した本人とは別の担当者が、別のPCで一部を開き直します。原本があっても専用ソフトやアカウントがなく開けない、座標や色が落ちている、図面と元点群の対応を追えないなら、将来用の保存はまだ完了していません。
保存する前に、次回何を判断するかを決めます
「建物のデジタル記録」のような広い目的では、何を残すべきか決まりません。次の設備が開口や通路を通るか見たい、床・天井・梁の高さを読みたい、改修図面の現況根拠にしたいなど、将来の判断に必要な面・寸法・図面を先に置きます。
必要な面が欠けている場合は、保存方法では直りません。今回の現場で補測するか、「天井裏は未観測」「可動棚の背後は不明」のように再利用しない範囲として残します。
同じ現況でも、原本・処理点群・図面は別の版です
| 残すもの | 残す理由 | 一緒に記録すること |
|---|---|---|
| 機器のネイティブ取得原本・処理プロジェクト | 後日、位置合わせや出力をやり直すため | 機器と製造番号、ソフトと版、取得日時、建物・階・区画、実際の経路 |
| 書き換えていない交換用コピー | 専用ソフトがない環境で開き直すため | 形式、座標・高さ・単位、色・反射強度・分類など残した属性と落ちた属性 |
| 登録・座標付与・分類・切り出し後の処理点群 | 断面、計測、図化を同じ条件でやり直すため | 使った原本、合成・座標変換・分類・間引きの履歴、確認結果 |
| 位置と向きが分かる写真・360度画像 | 点群だけで判別できない部材や設備の状態を見るため | 撮影時点、位置、向き、対応する区画・設備 |
| 平面・立面・断面、DXF下書き、修正後のCAD図面 | 実際の改修設計や協議に使うため | 断面位置、元の処理点群、点群以外の根拠、人が修正した線・寸法・注記 |
国土地理院のLidarSLAM技術を用いた公共測量マニュアルも、点検済みの「オリジナルデータ」と、そこから作るグラウンドデータ、グリッドデータ、断面図データなどを分けています。また、ファイルの管理と利用に必要なメタデータを成果と一緒に記録するよう定めています。これは公共測量の規定ですが、後の利用を考えるときに「何のデータかを明確にする」考え方は共通します。
図面から根拠データへ戻れる索引を作ります
ファイル名に日付を付けるだけでは、図面の線がどの点群を根拠にしたか分かりません。建物・階・区画・設備にデータIDを対応させ、図面の版からDXF下書き、断面位置、処理点群、交換用コピー、取得原本、写真へ順に戻れる対応表を作ります。
座標付き点群には、測地基準、平面直角座標系の系番号、水平・高さの基準、単位、原点、座標変換とグローバルシフトを残します。現場内の任意座標なら、公共座標と誤認しない名称にし、原点と軸の決め方を記します。
改修後に一部だけ再計測した場合は、建物全体を新しい日付へ書き換えません。更新した区画と、旧時点のままの区画を分けます。
別のPCで開き直し、改修の一作業まで試します
保存元と同じソフトを同じアカウントで開くだけでは、将来の復元試験になりません。別のPCへ保存一式を移し、索引から一つの部屋や設備を選びます。図面、DXF、断面、処理点群、交換用コピーを開き、既知の寸法または座標が合うかを確かめます。
ネイティブ原本が開けなくても交換用コピーで作業を続けられる場合は、両方を残します。変換で必要属性が落ちるなら、交換用コピーへ一本化しません。一方、必要な面が原本にない、座標の来歴が分からない、建物が改修後である場合は、保存データの再処理で補わず、影響する区画を再計測します。
計測と図面の更新は、別の作業としてつなぎます
ラクソクRentでは、Scan Handy1、Go、Studio、PCを使い、現況の取得からUSB取込み、距離・高低差・断面・面積の確認までを試せます。必要な面が取れ、別環境で開き直せる形式へ出せるかを、代表区画で先に確かめます。
保存した点群から寸法・断面・輪郭を拾い、DXF下書きと人によるCAD補正へ進む範囲は、ラクソクSpaceの開発・検証相談として切り分けます。完成図面・BIMの自動生成、RentとSpaceの自動連携、長期保管を提供済みとして進めず、使う点群形式、座標、図面の範囲、人が確認・修正する部分を個別に決めます。