
点群は、元ファイルを送れば受け渡し完了とは限りません。相手が必要なのが、現況を見ること、寸法・断面を読むこと、CADやGISで作業すること、別の条件で再処理することでは、渡すものが違います。
先に「指定した位置を見る」「この断面を出す」「既知点に合わせてCADへ読み込む」など、受領者が実際に行う操作を決めます。その操作ができたところまでが、この受け渡しの範囲です。
相手の作業で、渡す組合せを決めます
| 相手が行うこと | 渡すもの | 渡しただけでは足りないもの |
|---|---|---|
| 現況を見て協議する | ブラウザ閲覧リンクや対応ビューアー用データ、見てほしい位置 | 取得時点、非表示・欠測範囲、閲覧期限と権限 |
| 寸法・断面を確認する | 必要範囲の作業用点群、断面位置、座標・高さ・単位 | 寸法を読む基準面や断面幅、判断に使わない範囲 |
| CAD・GIS・BIMへ取り込む | 相手のソフトで読める形式、座標参照系、原点・軸・単位、必要属性 | 変換内容、変換で落ちた属性、確認用の既知点・寸法 |
| 分類・座標変換・再処理をする | 取得原本やネイティブプロジェクト、書き換えていない交換用データ、処理履歴 | 機器・ソフトの版、合成・座標付与の条件、未観測範囲 |
「LASなら安心」「E57なら全て残る」と拡張子だけで決めないでください。CloudCompareの公式入出力表でも、BIN、ASCII、LAS、E57などで保存できる色、法線、スカラ値などが異なります。実際に使う属性を基準に選びます。
全量の前に、代表サンプルを実環境で開きます
先に小さな試験データを作ります。ただし、原点付近の軽い部分だけでは試験になりません。実際と同じ座標値、必要な色・反射強度・分類、密な場所と疎な場所を含めます。
受領者の本番PC・ブラウザ・ソフトでサンプルを開き、次を実行します。
- 対象の範囲が全て表示され、上下・左右が意図どおりか見ます。
- 座標値、座標参照系、単位、高さの基準を読みます。
- 色、反射強度、分類など、次の作業に必要な属性が残っているかを見ます。
- あらかじめ決めた既知点または寸法を確かめ、指定した断面やインポートを実行します。
大きな平面直角座標を持つ点群は、ソフト内部で扱う値を小さくするためにグローバルシフトを使うことがあります。CloudCompareの公式説明では、シフトとスケールをメタデータとして保持し、対応形式へ保存する際に元の座標へ戻す仕組みを示しています。シフトを無視した書き出しや、受領側で異なるシフトを当てると、見た目は開けても位置が合いません。
開けないときは、失敗の種類で戻る場所を変えます
| 起きたこと | 次に直すこと | やってはいけない対処 |
|---|---|---|
| 拡張子が未対応で開けない | 原本を残し、相手のソフトが読める交換形式へ作業用コピーを変換する | 原本を変換済みファイルで上書きする |
| 開けるが遠くへ飛ぶ、大きさが違う | 座標参照系、軸と符号、メートル・ミリメートル、原点、グローバルシフトを元の記録と合わせる | 画面上で目分量の平行移動や拡大縮小を行う |
| 色や分類が消える | 必要属性を保持できる形式へ戻し、変換後を再確認する | 表示できないのか、データから消えたのかを分けず納品する |
| 重くて操作できない | 受領者の作業範囲ごとに切り出す、タイル分割する、またはブラウザ閲覧を用意する | 必要な縁や設備を確認せず全体を一律に間引く |
ブラウザ共有は、点群ソフトを持たない相手と現況を見るのに向いています。例えばLRTK Cloudの公式ページは、非ユーザーへの共有リンクと、ブラウザ上の点群閲覧・計測を案内しています。一方で、共有リンクを送ることは、元データと属性を渡して別ソフトで再処理できることとは別です。
変更したファイルは再び同じサンプル操作を行います。相手の実環境で必要な断面・計測・インポートが完了し、軽量版や閲覧版から必要に応じて原本へ戻れる状態で全量を渡します。