2026年10月1日、株式会社コンステックは、目視調査支援システム「INKARA」の試用版について、受付と提供を開始したと発表しました。正式提供前に、さまざまな利用環境で検証し、改善につなげることが目的です。主要機能を1か月間、無償で利用できます。試用版の提供は2027年3月31日に終了する予定で、正式版の提供時期、料金、機能は未定です。
塗装仕上げ外壁の写真から変状を検出
INKARAは、建築物の塗装仕上げ外壁を対象に、撮影写真からひび割れや鉄筋露出などの変状箇所をAIで自動検出します。外壁調査で劣化状況を整理し、図面や数量データを作る工程を支援するシステムです。
同社の9月15日の発表によると、従来は、技術者が外壁を目視し、メジャーで測定して図面へ書き込み、事務所に戻ってCADで清書していました。調査対象によっては高所作業車やロープアクセスなども使います。INKARAを用いる場合も外壁の撮影は必要ですが、その後は写真をシステムに取り込み、AIが示した変状を技術者が確認・修正する流れになります。AIだけで判定を完結させる設計ではなく、技術者による確認を組み込んでいます。
確認後の劣化図はDXF、数量はCSVで出力
確認・修正した結果は、劣化図をDXF形式、数量データをCSV形式で出力できます。CADで扱う図面と、表計算などで整理する数量を別々のデータとして受け取れるため、導入時には現在使っているCADや数量集計の書式に、出力内容をどう取り込むかを試用期間中に確かめることになります。
処理はすべてローカルPCで実行し、外壁写真を外部サーバーへ送信しません。公式製品ページでは、専門知識を必要としない操作画面と、普及型PCでの動作を説明しています。
共同研究の検証値は個別条件での結果
システムは、北海道立総合研究機構北方建築総合研究所の重点研究に、コンステックが共同研究者として参画して構築しました。築35年のRC造4階建て商業施設で、幅約90m、高さ約16mの南面外壁を対象にした検証では、開発手法がF値0.9に近い値を示しています。ただし、これは当該条件での検証結果であり、あらゆる建物や撮影条件で得られる一般的な保証値ではありません。
試用前に撮影条件と運用の境界を確認
公表情報には、具体的な撮影条件、必要画素数、焦点距離、撮影距離は示されていません。ドローンの自動飛行、写真の位置合わせ精度、ひび割れ幅の計測精度についても記載がありません。そのため、試用時は対象外壁で使える写真をどう準備するか、出力された変状の位置や数量をどの工程で技術者が確認するかを、既存の調査手順に沿って確認する必要があります。適用対象が塗装仕上げ外壁であることも含め、想定案件との適合を見極める期間と位置付けるのが妥当です。