
航空法のドローン規制は、「どこを飛ぶか」と「どう飛ばすか」の2つで決まります。決められた空域を飛ぶ場合や、決められた方法で飛ばす場合を「特定飛行」と呼び、原則として禁止されています。特定飛行に当たらなければ、飛行の許可・承認は要りません。ただし、機体の登録は、特定飛行かどうかに関係なく必要です。
この回で押さえる要点は次の3つです。
- 航空法の対象になるのは、重さ100g以上の無人航空機
- 規制されるのは4つの空域と6つの飛ばし方で、どれかに当たれば特定飛行
- 特定飛行は、リスクに応じてカテゴリーⅡとⅢに分かれ、必要な手続きが変わる
この連載は、国土交通省の無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版、2026年7月14日適用)に沿って進めます。教則は、国家資格の学科試験の基準になっている資料です。
航空法の対象になる無人航空機
航空法でいう「無人航空機」は、次の3つをすべて満たすものです。
- 飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船のいずれかで、構造上人が乗れない
- 遠隔操作か、プログラムによる自動操縦で飛ばせる
- 重さが100g以上
重さは、機体本体とバッテリーの合計です。バッテリー以外の、取り外せる付属品は含めません。100g未満の機体は「模型航空機」に分類され、無人航空機の規制は受けません。ただし、模型航空機も空港周辺などの一部の空域では飛行が制限されます。
もう一つ注意が要るのは、別の法律です。重要施設の周辺を規制する小型無人機等飛行禁止法は、重さに関係なく対象にします。100g未満の機体でも、国会議事堂や一部の空港などの周辺では、原則として飛ばせません。この法律は第9回で扱います。
規制される4つの空域
航空法がドローンの飛行で守ろうとしているのは、次の2つの安全です。
- 航空機の航行の安全
- 地上・水上の人や物件の安全
これを損なうおそれがある空域として、次の4つが原則禁止されています。
| 空域 | 禁止する理由 |
|---|---|
| 空港やヘリポートの周辺の上空 | 離着陸する航空機とぶつかるおそれがある |
| 緊急用務空域(災害時などに国交省が指定) | 捜索・救助の航空機の邪魔になる |
| 地表・水面から150m以上の高さ | 航空機が飛ぶ高さと重なる |
| 人口集中地区(DID)の上空 | 落ちたときに人に当たるおそれが高い |
DIDは、5年ごとの国勢調査の結果で決まる地域です。現在は2020年(令和2年)の国勢調査に基づく地区が使われています。2026年7月1日からは、DIDのうち工業専用地域の区域がこの規制から外れました。空域の細かい扱いは第3回で説明します。
規制される6つの飛ばし方
空域とは別に、次の6つの飛ばし方も原則禁止です。
| 飛ばし方 | 原則のルール |
|---|---|
| 夜間飛行 | 日の出から日の入りまでの間に飛ばす |
| 目視外飛行 | 操縦者が自分の目で機体と周りを常に見て飛ばす |
| 30m未満の飛行 | 第三者や第三者の物件から30m以上離す |
| 催し場所の上空 | 祭りや展示会など、人が集まる催しの上では飛ばさない |
| 危険物の輸送 | 火薬や引火性液体などを運ばない |
| 物件の投下 | 機体から物を落とさない(農薬などの散布も含む) |
4つの空域と6つの飛ばし方のうち、1つでも当たれば特定飛行です。空域と飛ばし方の両方に当たる場合も、もちろん特定飛行になります。
建設現場で特定飛行になりやすい場面
測量や点検でドローンを使うと、気づかないうちに特定飛行になっていることがあります。とくに多いのは、30m未満の飛行です。
「第三者の物件」には、建物や電柱・電線、道路を走る車、鉄塔などが含まれます。工事現場の外周に隣家や電線があれば、外周付近を飛ぶだけで30m未満の飛行に当たる可能性があります。一方、自社の建設機械や現場事務所など、自分たちが管理する物件は第三者の物件に当たりません。
もう一つは目視外飛行です。モニター画面やゴーグルを見ながら飛ばすのは、目視には当たりません。法面の裏側や建物の陰に機体が回り込むような計画も、目視外飛行になります。
カテゴリーⅠ〜Ⅲの分け方
飛ばし方の危険度に応じて、飛行は3つのカテゴリーに分かれます。分け目は、特定飛行かどうかと、飛行経路の下に第三者が入らないよう管理するかどうかです。この管理を「立入管理措置」と呼びます。
| カテゴリー | 内容 | 飛行の許可・承認 |
|---|---|---|
| カテゴリーⅠ | 特定飛行に当たらない飛行 | 不要 |
| カテゴリーⅡ | 特定飛行で、立入管理措置を講じて飛ばす | 下の表を参照 |
| カテゴリーⅢ | 特定飛行で、立入管理措置を講じずに飛ばす(第三者の上空) | 必要(一等資格と第一種機体認証も必要) |
カテゴリーⅡは、さらに2つに分かれます。
| 区分 | 当たる飛行 | 手続き |
|---|---|---|
| カテゴリーⅡA | 空港周辺、150m以上、催し場所の上空、危険物の輸送、物件の投下、総重量25kg以上の機体 | 許可・承認が必要 |
| カテゴリーⅡB | それ以外の特定飛行(DID上空、夜間、目視外、30m未満) | 対応する資格と機体認証があり、安全確保措置を講じれば不要 |
カテゴリーⅡBで許可・承認を省くには、資格と機体認証が飛ばし方に対応している必要があります。たとえば夜間に飛ばすなら、夜間の限定を解除した資格が要ります。飛行マニュアルの作成と順守などの安全確保措置も必要です。資格と機体認証がそろっていなければ、許可・承認を取れば飛ばせます。申請の方法は第5回、資格と機体認証は第6回で説明します。
なお、飛行の「レベル1〜4」という呼び方もあります。レベル3は無人地帯での目視外飛行、レベル4は有人地帯での目視外飛行です。カテゴリーとレベルは、必ずしも一対一では対応しません。
航空機が優先という原則
ドローンを飛ばす空は、ヘリコプターなどの航空機も使っています。航空機とドローンの進路が交わる場合は、ドローンの側がよけます。航空機から小さなドローンを見つけてよけるのは難しいためです。
150m以下の低い空にも、航空機は飛んできます。ドクターヘリ、警察・消防のヘリ、送電線の巡視や農薬散布をする機体などです。飛行中に航空機を見つけたら、ドローンを地上に降ろすなどしてよけます。
まとめ:空域と飛ばし方の2つで特定飛行を判断
ドローンの飛行計画を立てるときは、まず4つの空域と6つの飛ばし方に当たるかを確かめます。1つも当たらなければカテゴリーⅠで、飛行の許可・承認は要りません。1つでも当たれば特定飛行なので、カテゴリーⅡかⅢかを決め、必要な手続きを確かめます。
次の現場では、飛行範囲の図に、隣家・電線・道路など第三者の物件を書き込んでください。そのうえで、30m以内に入る経路があるかを確かめると、特定飛行かどうかがすぐに分かります。
確認問題
問1 本体90g、バッテリー20gの機体は、航空法の無人航空機に当たりますか。
答え 当たります。重さは本体とバッテリーの合計で判断し、合計110gで100g以上になるためです。
問2 DIDではない現場で、日中に目視で飛ばします。ただし、飛行経路が隣家から20mの位置を通ります。これは特定飛行ですか。
答え 特定飛行です。第三者の物件から30m未満の飛行に当たります。
問3 二等の資格と第二種機体認証を持つ人が、DID上空で日中・目視内の飛行をします。立入管理措置は講じます。許可・承認は必要ですか。
答え 不要です。カテゴリーⅡBの日中・目視内の飛行なので、資格の限定が機体の種類と合っていれば、許可・承認は要りません。ただし、飛行マニュアルの作成と順守、飛行計画の通報、飛行日誌の記載は必要です。